エピローグ・東京タワー
『どこに行きたい?』
「今夜は、東京タワーの気分かな~」
『すぐそこだ。酔い冷ましに、歩くぞっ』
新橋の金曜の夜は、眠りを知らない街になっていた。
逆に、銀座界隈は、1時を境にどんどんひとけがなくなって、寂しくなって行く。
気どらない新橋が、気持ちが休まるので、仕上げはこっちが多くなる。
中国人の女が、客を探して徘徊している赤レンガ通りを、気がついたら…日本人の女に捕まり、歩いていた。
『客引きじゃないだろう~、どうした…』
「少し、一緒に歩いて。後ろは、絶対に振り向かないでね…」
わけ有りな女は、面倒に巻き込まれるのは、見えている。
酔ってる女が客引きもしないだろうから、腕を組んだまま歩いていく。