美穂-376
買い物は1時間程度と予定していたが、さっさと歩けない状態は計算外であった。
札幌で田嶋さんから掛けて貰った股縄は"気持ち良さ"だけが記憶にあり、自縛の股縄に再現を求めたが、見事に失敗に終わったと言える。
股縄が痛い…どうしても動きがゆっくりにしないと、顔が歪んでしまう。
快楽を勝手に得ようとしたが、縄に不慣れな事が、あからさまとなり…逆に田嶋さんを見直した。
『美穂さん…』
突然、後ろから声を掛けられた。
振りかえるとそこには志保がいた。"緊縛moon"で、身のまわりを世話してくれた志保が…救われた気がした。
この絶望的な時に絶妙なタイミングで現れて、美穂は顔をくちゃくちゃにして、泣き笑いを同時にしていた。