美穂-314
ひかると視線が合い、空のグラスを持ち上げて、休憩を促すと、近ずいてきた。
躰に麻縄の縛りがあるときは、仕草がおとなしくなって、マネージャーとしての、ハキハキ働くひかるとは違っていた。
空のグラスにビールを注いで、乾杯をする笑顔が、今日一日の疲れを癒やしてくれた。
[美穂さんをほっといては、可哀想ですから、お部屋に戻って下さい。ここは、もう終わりにします…]
『そうだな。では、飲み終わったら戻らせて貰おう。ひかるの縄を解いておこう。』
田嶋は立ち上がり、ひかるの後ろに回った。
ひかるを縛った麻縄の丁寧な縄目を見て、札幌のサークルの人達も腕を上げてきた事も確認できた。