美穂-333
喪服姿の美穂ではあるが、清々しい振る舞いに周りの乗客も、美穂への視線が飛び交っている。
私達2人の関係を探るようにも思える…サラリーマンとは異なるスーツ姿に大き目なキャリーバックを持つ田嶋が、喪服姿の美穂を目立たせている。
美穂は部屋に帰る前に、明日の身仕度が心配になり、新宿で一緒に買い物をして欲しいと、田嶋に申し訳なさそうに頼んだ。
『ああ、そんなこと構わない。部屋に帰ると美穂を構って出たくなくなるかもしれないからそうしよう(笑)』
「その気持ち…女として、とても嬉しいですわ。なるべく買い物は短時間ですませます。」
田嶋が持っているカードに新宿伊勢丹があり、明日の家族葬までに必要なものをフロアー案内を見ながら美穂は考えていた。