縄好き SM小説-4

SM小説-4

幸いにも今住んでいるマンションは父が残してくれた為、それほど生活に困っている訳で

はなかったが、聡の大学進学の事を考えると贅沢は出来なかった。

もとから責任感の強かった美穂は愚痴一つ溢さず仕事と家事をこなし、今年、聡を高校に

入学させたばかりだったが、責任感だけからこれほどの愛情を聡に注ぐ事は出来ない。

美穂は聡に姉として、そして母親としての愛情を自覚していたが、その愛情の根底には

女として聡を一人の男として愛している事に気づきはじめていた。

美穂に言い寄る男はこれまで沢山いたが、美穂は全ての男を拒絶し、聡にだけ自分の

愛情を注いできたため２５歳になった今も男性経験がかなり少ない。

というより、父が再婚する前、短大の時にバージンを失ってから男との性行はこの

５年間無かった。

その短大の頃、両親のＳＭプレイを偶然目にしたことが、美穂の生まれて始めての

ＳＭ体験でした。

最初は何をしているのかまったくわかりませんでした。

父は全裸の母を縄で縛り、バイブ（当時はそれが何であるかわかりませんでした）を

使って責め立てていました。

母はタオルのようなもので口を塞がれてうめいていました。最初は、美穂には母が苦し

んでいるのか喜んでいるのかわかりませんでしたが、翌朝の母の笑顔や父に対する態度で

理解することが出来ました。

ただその光景を見た瞬間、美穂は心臓をぎゅっとわしづかみされたような痛痒さを

感じたのです。

それからというもの、両親のＳＭプレイを覗き見ることが単純な性行よりも美穂の唯一の

楽しみとなり二人が交通事故で亡くなった時に、弟以上に嘆き悲しみを露わにしてし

まったのでした。

心の中で、聡に責められたいと願う気持ちが、他の男性に興味を示さなかったのが正直な

気持ちかもしれない。

つづく