美穂-185
一方、田嶋は美穂の太ももに手を置いた事は覚えている…しかし、空港に着くまでぐっすりと寝入っていた…
「美穂は、帰って来て落ちついたら館に戻ってくるの~」
[東京には、身よりは叔父だけだし…社宅には居られないし…ここ好きだし…]
「それじゃあ~帰ってきたら、荷物の片付けに若い男の子や処分屋を行かせるわ」
[…はいっ、はっはっ、よっ宜しくお願いします…]
夫が亡くなった事に対しては、涙が出なかった…でも、麻由美の親切さには、こらえきれずに泣き出してしまった…
「大丈夫よっ、みんなで守ってあげるから…」
[会社の先輩にも、夫の浮気を薄々知っていて、同じ社宅住まいの紀子さんには特にお世話になっている…]
「美穂の人徳かな~こんな時だからこそ甘えちゃうのが、礼儀かもしれないね…」
[そんな風に…言って貰ったの…初めて…です…もう、涙が止まんなくて…うっうっ…]
「たくさん泣いて瞳を腫らしときなさい…向こうで、"打ちしがれた花嫁"として、意に反した演技をしなくてもすむからね…」
[…]