縄好きＳＭ小説-19

ＳＭ小説-19

両親が交通事故で亡くなり、悲しみも落ち着いた日に遺品の整理を
し始めていたが、鍵の掛けてあるタンスの鍵が母親の化粧箱に入って
いたのを見つけ出した時、躰が疼き出してきた。

生前に２人のＳＭプレーを壁に穴を開けて盗み見ていた限りでは
沢山の麻縄や責め具を持っていたので、このタンスの中にあることは
容易に想像できていた。

ゆっくりと鍵を開けた。

予想した通りに、縄が吊り下がり、責め具がケースに入っていた。

でも、ケースの中が空の処や、縄のかけられる場所が半分以上空いている。

日記がある。母の日記であった。

もしかしたら、これで、父の誠と母明日香の事が、わかると予感した。

日記には、母は名古屋でＳＭクラブにいた時に、縄師の父に惚れて身ごもり
結婚したようだ。あいにく子供は流産し、子供を産めない躰になって
しまうが、私が知る限りとっても仲の良い夫婦であった。

父誠は、ＳＭクラブへ縛り方を教えていたようだ。

都内や名古屋・大阪・倉敷・福岡のＳ役をする店の女達に縛り方を教え回る
縄師として生計を立てていた事がわかり、よく家を空けていた訳がわかった。

日記の中には、各地で行われるＳＭショーに招待されている事が書かれている。
今回の交通事故は２人でショーに招かれてた処の日付で終わっていたので、行く途中か
帰りに交通事故に遭遇して亡くなったのだろう。

生前、母明日香の友達が遊びに来て泊まっているが、母と特別な躰の
関係があったようだ。

母が縛り、責めるのを覗いて、知っていた。